《今週のテーマ》
★能力より忠誠心で人は動く
経営者が人を雇う場合、従来の経営概念では、まず会社があり、
そこに仕事があって、それを効率よく遂行するために人を採用す
ると考えるのが普通だった。いわば会社第一主義というわけであ
る。
しかしこの経営概念には、人間本位の考え方が抜け落ちている
という欠陥がある。信頼、愛情、友誼といった経営者と社員の人
間的な結びつきが置き忘れられているのである。
信頼関係がなければ人は動かない。結局、社員が会社に貢献し
うるかどうか、の最終的な決め手となるものは、能力のあるなし
ではなく、ロイヤリティ、忠誠心なのである。その会社を本当に
愛せるか、経営者を人間的に信頼できるか、それによって社員の
働きは決まってくるのだ。
私は人を採るとき、頭のよさや能力のあるなしより、その人に
ロイヤリティがあるかどうかという点を重視することにしている。
人は誰でも、最初から将来自分の片腕になれるような人材を採れ
るわけではない。どんなに頭のよい人間でも、どんなに仕事がで
きる人間でも、入社してから教育する必要がある。その際、もの
をいうのは相互の信頼関係で、ロイヤリティをもった社員なら、
何事にもやる気と情熱をみせ、どんどん大きく育ってくれるので
ある。
現在の私の部下の中には、長い間私にいろいろ言われながらが
んばり通した人間もいるが、その人間が必ずしも能力が一番だっ
たというわけではない。しかし、会社のためにはその人間が一番
役に立っているし、また、実際に一番働いてくれてもいる。
会社という組織においては、個人の能力より、ロイヤリティ、
トップと社員との相互の信頼関係の方がより大きな力を発揮する
のである。
したがって、経営者としても、会社第一主義ばかりを振りかざ
すのでなく、まず社員を人間として認め、その人間性を尊重する
必要があろう。それが社員の力を開発し、ロイヤリティを強め、
ひいては会社を発展させるキーとなる。
だから、「人材育成」の問題に取り組む場合には、「組織のた
めに人がいる」のではなく、「人の能力を発揮するために組織が
ある」と考えるべきだろう。まず人が存在し、その人に適した仕
事があり、その仕事を通じて自己表現していく。それを効率よく
運営していくために組織体がある・・・これが会社経営における
「人材育成」の正しいスタンスではないかと思う。
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メールマガジン『社長の着眼』
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